掲示板へ戻る /全部 /1- /最新20 /▼ラスト
大雪葬斎場内覧会
- [1]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:10 No.6266
大雪葬斎場は、旭川市近郊の東神楽町、美瑛町、東川町の3町で構成する一部事務組合である大雪葬斎組合により昭和51年に建設されて以来48年経過し、老朽化も見られることから移転して建て替えられることになった。
場所は、現施設が大雪霊園の北側端に位置しているところ、南側端の合葬墓や芝生墓所に面した土地に建設したものである。
12月から供用開始ということは分かっていたため、各町の広報をチェックしていたところ、11月23日(土・祝)に内覧会を開催することが分かった。
たまたまその日は休みであったが、翌日の日曜は仕事が入っており休むことができない。
そこで、前日の金曜に午後休をもらい、その足で新千歳へ飛んでレンタカーを借り、砂川駅付近で宿泊し、翌日、未訪問の火葬場を4件回ってから見学会に参加し、その後、3件の未訪問火葬場を回ってから最終の飛行機で大阪に帰ってくるというプランを立てた。
北海道を1泊2日とは贅沢であるが、前乗りしようにも木曜も金曜も業務が立て込んでいてまるまる休むわけにはいかなかったのである。
というわけで金曜の午前中に業務が終わるとそのまま駅に向かったが、その日は路線トラブルでJRのダイヤが乱れていたため鉄道は諦め、バスで関空まで向かった。
ところが、時間が来て搭乗手続きを済ませたが一向に飛行機に案内されない。すると、機内整備に時間を要し機内へ御案内できる時間は未定です、といったアナウンスが流れた。
結局30分遅れで関空を離陸したものの、新千歳到着時には遅れが40分に拡大していた。
レンタカー予約時刻を過ぎてしまったので、電話をかけ事情を説明すると、飛行機遅れは把握しているとのことで無事車を借りることができた。
そのまま、砂川駅近くのホテルに直行し、翌日に備えて早目に就寝した。
翌日は、5時に起床し行程のチェックと朝食を済ませた後、4箇所の火葬場を巡ってから8時過ぎに大雪葬斎場に到着した。
見学会は10時からであるため、まずは、現行の施設を撮影しておく。
- [2]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:11 No.6267
炉前もガラス張りのため見やすくなっている。現在建設される火葬場では、このように炉前が見えやすい施設はほとんどないと思われる。
当時は、炉前の暗い印象を打破するため、外光をできるだけ取り入れるべくこのようにしたのだろうかと考える。
火葬炉は3基であり、新施設では4基となる。炉の番号は1から3号炉となっている。
- [3]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:12 No.6268
それでは、新大雪葬斎場へ向かう。
同じ霊園内といっても敷地が広大で、かつ南北の端と端になるため500mくらい離れていて、徒歩での移動はそれなりに時間がかかる。
入口では新しく設置された大雪葬斎場の表示が出迎えてくれる。裏面に何か記念のようなことが記載されているかと思って見てみたところ、表と全く同じ施設名が記載されていた。
- [4]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:12 No.6269
その隣には、内覧会の案内も準備されていた。
開始2時間前に到着したのは、無人のうちに施設外観を撮影するためである。
入口を抜けるとすぐに利用者駐車場となっている。その奥には目隠し壁があり、恐らくそこから先は霊柩車しか通れないようになっていると思われる。
- [5]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:13 No.6270
壁の裏側には庇が設置されており、この区間は傘が不要で火葬場まで行くことができる。
- [6]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:13 No.6271
建物正面側には盛り土がされており、前庭となっている。
うまく写せなかったが、遠くに大雪山や十勝岳連峰を望むことができる。
この丘のすぐ側には道路が通っているが目隠しになり、そちらから火葬場は一部しか見えないようになっている。
歩いて上ることができたので、丘の上から施設全体の写真を撮影する。
ここで、建物について何か不自然なことに気付かないだろうか。正解は後ほど。
- [7]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:13 No.6272
さて、見学会開始時刻になったので入館して受付を行う。
朝一でまだ参加者が少ない時間帯であったため、色々と興味深いお話を伺うことができた。
館内は、一部立ち入り禁止区域もあったものの、炉裏も含めて自由に見学することができた。
ただし、炉裏は写真撮影禁止エリアに指定されているため、本レポートではその写真がないことを予めお断りしておく。
- [8]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:14 No.6273
こちらが建物の館内図である。
左右に炉前ホールが1室づつ計2室設置され、1室に2基の火葬炉があり、使用時は1室を喪家が占用できるように配慮している。
火葬炉が背中合せに設置され、中央が炉室となっている構造の火葬場は北海道内では初めてとのことである。
本州では、旧栃木市斎場や山陽小野田市斎場など各所で見ることができるが、広大で火葬場も多い北海道で初めての構造とは意外であった。この内覧会に参加しなければ知ることがなかったであろう。
炉前ホールを出たところに待合ホールがあり、その隣に待合室が2室設置されている。建物左手側の待合室近くにキッズスペース及び授乳室が設置されている。
- [9]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:14 No.6274
炉前ホールを入口から撮影した。
向かって右手に火葬炉が2基あり、奥には祭壇も用意されている。
反対側の炉前ホールについても左右逆で同じ構造となっている。
なお、設計をされた藤本壮介氏のこだわりにより、極力、表示類やスイッチが廃されている。
法定で設置が義務付けられている非常口の表示と、館内非常用放送装置以外のスイッチは照明用のスイッチすらなく、表示器についても「○○家」といった液晶表示も設置されていない。
近年では、炉前の「○○家」という表示は個人情報保護の観点から設置しない火葬場もあるが、この火葬場は、主にデザイン上の理由で設置していないとのことである。
- [10]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:14 No.6275
炉前ホールの床・壁・化粧扉に使用されている石材は共通のものでデザインを統一している。天井から下がっている丸いおしゃれな照明と合わせてイタリア直輸入とのことである。
また、火葬炉の化粧扉と、炉裏に入る扉のデザインも全く同じである。
- [11]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:15 No.6276
棺運搬台車と炉前の様子である。
ここでも、火葬炉関連に詳しい方であれば何か違和感を覚えないだろうか。
実は、設計をされた藤本氏は、内外装にかなりのこだわりをもって、通常ではあまり気にしないと思われる部分もきちんと拾ってデザインされたとのことである。
本来、宮本工業所社製の棺運搬台車はクリームが標準色であるところ、デザイン上の理由で変更を求められ、グレーに塗装されている。
社員の方にお伺いしたところ、この色の台車は珍しいのではとのことである。
また、上の方で建物に関して違和感を感じないかという問いかけもしたところであるが、正解は「平屋建てで近年の火葬場にしては建物高さが低い」というところである。
近年の火葬場は、2階に機器室や排気塔があり、その部分が建物から出っ張っているため、どうしても目立つところがあった。
藤本氏は、この火葬場をどうしても2階建てにはしたくないという強い思いから、通常、火葬炉直上の2階に設置している機器室を炉室横の1階に設置して平屋建てを実現したのである。
- [12]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:16 No.6277
- 【炉裏の様子について】
炉裏の写真撮影は禁止されていたため言葉で表現する。
・2基1組の火葬炉が背中合せに設置されている。燃料は北海道では多数派の灯油である。炉の番号は1から4であり、炉前ホール1側に1号炉と2号炉、炉前ホール2側に3号炉と4号炉が設置されている。昔は4番と9番の使用を避ける火葬場もあったが近年ではそのようなことはなくなってきている。
・デレッキレス炉であるため、バーナー下の細長いデレッキ口がない。御遺体の尊厳を守るのみならず、開口部がないことで炉内の温度や圧力管理にも有効とのことである。過去には、炉内台車を動かして火炎を当てる位置を調整していた炉もあったが、現在では、バーナーをソフト制御し、空気圧等を調整することで火炎の長さを可変させて対応している。
・炉裏も、藤本氏のこだわりがあり、多くの火葬場では火葬炉から伸びる排煙の配管は銀色のままであるところ、ここは炉体と同じクリーム色に塗装されている。
・前室については、横の開口部をシャッターではなく引き戸として全開できるようにし、頭部や脚部といった台車端部分の整骨をしやすく配慮している。
・炉裏の横にサイクロンが設置されているが、そこは立ち入り禁止区域で実物を見ることはできなかった。伺うとドラム缶状のものが設置されているとのことである。バグフィルタでないのは、炉の性能向上もあいまって、サイクロンでも十分環境基準を満たせるためとのことである。バグフィルタではオーバースペックなことに加え、高さが5.5m?7.5mほど必要となり、平屋建てに支障することも理由としてあるのではと感じた。
- [13]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:16 No.6278
待合室の様子である。
左右に2部屋の計4部屋設置されている。
待合室の調度品は、地元産の「旭川家具」を使用している。生産量が少ない高級品とのことである。
- [14]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:17 No.6279
トイレの様子である。
オストメイト等も整備されている。
- [15]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:17 No.6280
キッズスペースの様子である。
近年は、小さい子ども連れの方に配慮してこのスペースを設けている火葬場もあちこちで見かけるようになった。
- [16]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:17 No.6281
キッズスペースの横にある授乳室の様子である。
- [17]
名前:こむすび
:2024/11/25 (月) 21:19 No.6282
コンクリート打ちっぱなしとしているところがあるが、手間をかけて杉の木目を付けてアクセントとしている。
- [18]
名前:こむすび(最終)
:2024/11/25 (月) 21:20 No.6283
こちらが利用者駐車場がある火葬場裏側である。
霊柩車は、こちら側から右手に向かって回り込んで火葬場正面に向かう。
よく見ると木々の合間に銀色の排気塔が見える。アングルを変えて墓園側から見ると2本あるのが分かる。
排気塔も厳重に隠されているのかと思っていたので、利用者からこのように見やすいようになっていたのは意外だった。最後まで驚きの連続であった。
見た目は非常にシンプルな印象を受けるが、中を細かく見てみると随所にこだわりがあり、手間をかけるところはとことんかけている。それでいて、必要以上にそれを利用者にアピールしているわけでもないところに好感を持った。
設計者の思想が至る所で強く感じられる火葬場であった。数人の職員・社員の方に話を伺うことができたが、どの方も、設計者のこだわりを大切にし、実現しようという思いをお持ちであることが印象深かった。
この新しい火葬場が、東神楽町、美瑛町、東川町の皆様の終焉の地として心の拠り所となり、末永く活躍することをお祈り申し上げる。
結びに、本内覧会開催に御尽力いただいた職員・社員の皆様に心から御礼申し上げて本レポートを終了したい。
- [19]
名前:削除
:削除 No.6286
- 火葬塚
- [20]
名前:削除
:削除 No.6289
- 火葬塚
- [21]
名前:削除
:削除 No.6294
- 火葬塚