桑名市斎場 おりづるの森

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(作成中)

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2010年10月から供用開始された桑名市斎場 おりづるの森です。
それまであった旧火葬場の隣接地に造られました。



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新火葬場を見る前に周辺の火葬場を見てみましょう。
この周辺は、自治会が管理している古くからの火葬場が多く点在しています。
薪を燃料とした炉や野焼き形式の火葬場が殆どです。
多くが長く使われていない火葬場のようですが、地域の方々に大切に守られています。



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新しい施設に更新している所も何ヶ所かありました。
火葬炉は1基のようですが、再燃焼炉を備えた無煙無臭の火葬場だと思われます。
更に式場のような設備も備わっています。
自治会の力だけで、これだけの施設を整備し維持していく事は、並大抵の事ではありません。
旧長島町には公営の火葬場が無かったから自治会が火葬場を整備したのか・・・?
それだけではないと思います。




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こちらは数年前に撮影した桑名市内にある火葬場です。
工場に囲まれた小さな墓地にひっそり佇んでいます。
どの墓地にも言える事ですが、非常に清掃が行き届いていて真新しいお花が供えられているお墓が殆どです。
火葬場もとても綺麗になさっています。
先に長く使われていないようだと書きましたが、地元の方々は現役の火葬場という認識でおられるのではないかと思います。
薪炉や野焼きの施設であっても、過去の遺産という認識で守っておられるのではなく、先祖代々使われてきた現役の火葬場という認識で大切に守られていると感じました。
こう考えると、重い負担にも関わらず自分達で火葬場を整備をした理由の説明が、何となく分かったような気がします。
昔からの文化としての火葬場を今に残す貴重なものです。
火葬場好き(?)の私としては、このような大切な文化を後の世にも伝えていって欲しいと思います。



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おりづるの森に戻ります。
国道から斎場内に入ると建物の側面が見えます。
建物の裏側が国道に面し、入り口は国道の反対側になります。
着棺時に自動車の騒音から遠ざける為の配置なのでしょう。
屋内の配置は、下の案内図をご覧下さい。

1階案内図
2階案内図



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入り口の車寄せです。
車寄せ自体が屋内にあり、ここには霊柩車ごと入るそうです。

国道の反対側に入り口を持ってきたのは良いのですが、反対側には住宅地があります。
着棺の様子が住宅地から見えます。
想像ですが、霊柩車や着棺の様子が住宅地から見えないように屋内に車寄せを設けたのではないかと思います。
悪天候時に対応し易いという副次的効果もありそうですね。
どっちに入り口を持って行っても都合が悪いという条件で、よく考えられた結果だと思います。



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エントランスホールです。



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告別室です。
見慣れない手押しの台車がありました。
一般的な電動棺搬送車を使わないで、あえて手押しの台車を使っているそうです。
この台車に柩を載せて炉前まで進み、炉前で炉内用の耐火台車に載せ換えます。
このシステムは、昔ながらの火葬場と全く同じですね。
遺族の手で最後をという事からこうしたそうです。
何でもかんでも自動化で遺族は何もしなくていい、も良いですが、
遺族の手で最後を送るというのも非常に大切な事です。

日本の火葬場は、遺族が火葬作業の一部を行うという伝統があると考える事が出来ます。
喪主が点火ボタンを押す慣習がある所がありますが、喪主が薪に火を点けていた時代の名残だと思われますし、
日本では当たり前の拾骨という儀式は、これも作業の一環と見る事が出来ます。
遺族の手による部分を残すという事は、儀式としての火葬の伝統を残す事と言えると思います。
一方、西欧の火葬は処理的要素が非常に大きいです。
この点が、日本の火葬の特徴だと思います。



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炉前ホールです。
広い炉前が増えたせいか、チョット狭く感じます。
壁が傾いているせいで、有効な床面積が実面積より狭くなっているのも狭く感じる一因かも知れません。
でも、実用上はこれで十分な面積なのかも知れません。



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告別室と炉前は水盤を挟んであります。
そのせいもあり、大変明るい炉前ホールとなっています。
悲しい時に悲しい雰囲気の明かりより、このように明るい自然光の方が良いと思います。



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収骨ホールと収骨室です。



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2階へ上がると待合ロビーがあります。
斎場内には随所に多数の折り鶴が展示してあります。
折り鶴って、、、凄いんですね。
このような展示は、年配者から子供への伝承の切欠にもなり良い事です。
待ち時間の間、昔話の切欠にもなりますしね。

桑名の千羽鶴 説明文拡大




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待合ロビーは、通路を兼ねたような形であります。



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中庭から光が入りとても明るいです。
が、外側の窓からの(右写真)眺めは、、、建物の屋根しか見えません。
これも周辺への配慮からではないかと思います。
外側の窓の眺望を良くすると、外からも中からもお互い見えます。
外側の眺めは遮断して、中庭から光と開放感を得ようという事なのでしょう。



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待合室とキッズルーム。
待合室は若干狭いように感じるかも知れません。
会葬者の数は、地方によって違います。
地域の実情に合わせた結果という事になります。



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式場は2室。
この日は竣工式が行われました。
式場の使用料は20万円と、公営斎場にしては高額です。
利用率が気になるところです。

外観は屋根の形が独特な斎場です。
でも10年後、、、雨漏りとか大丈夫だろうか。
配置や運用も独自の考えに基づいた部分も多く見られる火葬場です。
特に告別室の説明で書いた、あえて人の手を使う方法は、新しい火葬場では初めて見ました。
これは、市内の自治会運営の古くて小さな火葬場を見た印象と、何か共通したものを感じます。

火葬は処理施設ではなく文化施設です。
自治会の小さな火葬場、おりづるの森、ともに文化という事を強く感じさせる桑名市の火葬場でした。







  旧 桑名市火葬場

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こちらは、それまであった旧火葬場です。



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改修を重ね綺麗に保たれていました。
建物裏に回ってみましたが、表も裏の落ち葉一つ落ちていません。



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内部も整理整頓されています。
管理状態は完璧と言っても過言ではありません。
古くても清潔で整理整頓された火葬場は、とても好感が持てます。
これだけ綺麗にしている火葬場なら、中を開けて頂いて綺麗に撮れば良かったと後悔しながら帰りの途に就きました。



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