島の火葬場-蒸籠の神様が宿る島-
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名前:こむすび(本投稿最終)
:2024/06/11 (火) 21:46 No.6210

その後は、利用分のガソリン代を支払い、港まで送っていただいた。
まずは川内港行きの乗船券を購入する。これで船に乗れることが確定し、新幹線等で路線トラブルがなければ明日の欠勤はなくなった。
ほっとするとお腹がへっていることに気付いた。食料を買い損ねて朝から何も食べていなかったのである。
そうだ、せっかく甑島に来たのだから名物のキビナゴ丼を食べてみたい。時間はないが急いでかき込めば間に合うだろう。
ところが、コロナの影響なのか、港の食堂ではメニューには記載されているものの、現在、飲料のみで食事の提供は中止しているとのことだった。
コロナが5類感染症に移行して1年が経過し、本土では様々なことが解禁されたような雰囲気となっているが、島では医療体制の制約から現在でも厳戒態勢が敷かれているのである。
上陸の際に見た港の注意書きでも、確かにマスク着用の案内が記載されていた。
今後、ここに限らず島を訪問される予定のある方は注意していただきたい。
食事はできなかったが、撮影のお礼も兼ねてキビナゴのみそ漬けやその他海産物の干物、お菓子等を買込み、多少、島の経済に貢献する。
本来は、火葬場の自販機で飲料を複数購入して、直接、収入に貢献したかったが、見当たらなかったのでやむを得ない。
大量のお土産をかばんに詰め終わった頃、16時30分発の高速船2便がやってきた。始発は下甑島の長浜港である。
こうして3日間に渡る鹿児島県の火葬場撮影も終わりを迎えた。
本土側での撮影も含め、うまくいかなかったこともあったが、それはその時の巡り合せであり、利用者がおられるなど頑張ってはいけないところでは無理しないことが今後につながるのではないだろうか…などと考えているうちに深い眠りに落ち、気付いたら川内港に接岸するところだった。
港で17時30分発のシャトルバスに乗り継ぎ、川内駅でも「かるかん」といった鹿児島県本土側のお土産や弁当等を購入して18時53分発のさくら572号に乗車する。
指定された座席に腰を落ち着け一息つく。仕事での3日間はやたらと長いのに、火葬場撮影であればあっという間に過ぎていく。
日程も都合上、友引を絡めることができなかったため、使用中の施設も多かったが、事故やトラブルもなく無事に終了したことは幸いであった。
今回は、行きとは異なり、途中での乗り換えがなく新大阪駅まで直通する列車である。
寝過ごす心配がなくありがたいが4時間座りっぱなしは腰にくる。夜間で景色も見えずどうやって時間をつぶそうか。
しかし、杞憂であった。
この3日間の疲れが勝ったのか弁当を食べて直ぐに意識がなくなり、気付いたら新神戸駅を発車したところだった。
これから9年後、新しい甑島の火葬場はどのような形で姿を現すのだろうか。
上甑島葬斎場や下甑葬斎場エリアからだと、20キロほどあるためまず待合室は設置されるだろう。
今後の人口減少具合によっては、各地の葬儀式場も維持できるか分からず、火葬場にも式場スペースが要るかもしれない、などと薩摩川内市役所職員の気分になって考えているうちに、列車は新大阪駅へ静かに滑り込んだ。
名残惜しいが列車を降り、再度日常へと足を踏み入れる。
いつかその日が来るであろう甑島再訪を楽しみにしつつ、翌日からの勤務再開に頭痛を感じながら地下鉄乗り場へ急いだ。
明日からまた旅費を稼ぐ日々が始まる。