島の火葬場-蒸籠の神様が宿る島-

[1] 名前:こむすび :2024/06/11 (火) 21:39 No.6194
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とある日の昼休み、私は会社の非常階段にこもってスマホを操作していた。
「…日から2泊…予約完了。新幹線みずほ615号、つばめ343号、さくら572号…予約完了。高速船甑島1便及び2便…予約完了。レンタカー6時間…予約完了。…」
予約が手元の端末で完結するとは便利な時代になったものである。
このゴールデンウィークに心ならずも2日間休日出勤をしたため、2日間の代休を取得した私は、新たなる島の火葬場を目指すべく思案していた。
西日本の瀬戸内や日本海側の島についてはほとんど訪問を終えているため、次の場所をどこにするか検討していたのである。
休みの日が2日間であることから、初日は仕事終わりにそのまま新幹線で移動し、翌日朝に船に乗って訪問可能なところから候補地を選定するのだが、訪問件数の増加と反比例して選択肢がかなり限られてきている。
その限られた選択肢が、どこも費用と時間のかかるところばかりなので、ここに行く!という踏ん切りがつかず決めきれないのである。
さらには、残された各候補地の火葬場がどこも新しめで本土の火葬場と大差がなく、訪問のモチベーションがなかなか上がらないという事情もある。
だからこそ、最後まで行かずに残っているとも言える。こうなったら、島限定にしない方が多くの火葬場を巡ることができて、ここでの需要も高いと思われるが、それを言ってしまうと元も子もない。
その候補地はあと3箇所まで絞り込まれている。
言い換えれば、私が20年前から構想していた島の火葬場撮影も今回を含めあと3回で当初の目標を達成し、目途がつくということである。
種子島以南の鹿児島県・沖縄県の島や東日本の島については、遠すぎることと、一部を除いて1島訪問につき1火葬場となり効率が悪すぎるため、当初の目標に入れていないのである。
それならばと、近い島同士をグループ化してまとめて訪問しようにも、連絡の船が1日1便だったりするため、必ず島での宿泊を強いられ、費用と日数がかさむのである。これでは定年にでもならないと回りきることは難しい。
また、これらの島については飛行機及び長距離フェリー利用が前提になってくるので、仕事帰りに「じゃ、行ってくるわ。」と新大阪駅から新幹線で気軽に旅立つことができず、訪問難易度と費用が急激に上がる。
出発地はもはや新大阪駅ではなくなり、大阪空港か関西空港発となるのである。仕事帰りにこれらの空港に行ったところで、沖縄や九州離島方面の飛行機は終わっていてせいぜい羽田か成田行きしかなく、結局は翌日発となる。現在は仕事帰りに出発でき効率的な移動が可能だが、飛行機利用となると実質的に半日余分にかかることになる。
あと3回で目途が着いた後は、やるとしても旅行のついでなどでたまたま訪問できた際に単発の特別編という形になろう。
さて、その3箇所のうちどこにするかについて、単に費用と時間だけで考えるのではなく何か魂を揺さぶる「決め手」を探すべく、候補地の各火葬場を調べていたところ、一つ気になるニュースを発見した。
鹿児島県薩摩川内市の甑島列島に3箇所ある火葬場について、2033年を目途に統合する計画があるとのことである。
甑島列島は、3つの有人島と多くの無人島からなり、現在、うち2つの島に計3箇所の火葬場が設置されている。
北から、上甑島葬斎場(上甑島)、鹿島葬斎場(下甑島北部)、下甑葬斎場(下甑島中部)である。また、残りの有人島である中甑島にも平成16年まで火葬場があり、石碑が残っている。
令和2年8月に甑大橋が開通したことにより、中甑島と下甑島がつながり、晴れて全ての有人島が道路で結ばれた。
そのため、中間地点にある鹿島葬斎場の位置に新たな火葬場を建設し、1箇所に統合するというのである。
建て替えまではまだ9年ほど余裕があるものの、これが「決め手」となり、今年は甑島に行くことに決定し、冒頭につながるのである。